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Salesforce1 Lightning Connectの発表から見える、セールスフォース社の基幹業務システムへのアプローチ

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前回のdataloder.ioに関する記事を書いていて目についたのですが、先日発表されたSalesforce1 Lightning Connectについて調べていくと、今後のセールスフォース・ドットコム(以下セールスフォース)の基幹業務システムへのアプローチが見えて来る気がします。

以前、このEnterprise Apps NowにSalesforceとKintoneに関する記事を書きましたが、その冒頭で触れていたのはkintoneと国内の業務系パッケージとの連携ニュースです。

Salesforceとkintone : 夢とリアルの狭間で - Enterprise Apps Now

 kintoneとの連携がニュースになっていたのが建設ドットウェブの原価管理システム「どっと原価」、ピー・シー・エーの会計ソフトである「PCA商魂」「PCA会計」。そしてオービックビジネスコンサルタントの販売管理システムの商奉行・蔵奉行シリーズです。いずれも業務システムをkintoneを利用してスマホ・クラウド経由でのシステム利用を可能にするスマホ支援を進めるものでした。

この記事を書いた時点では気づかなかったのですが、先日発表されたレガシーシステムとSalesforceをリアルタイムでつなぐ「Salesforce1 Lightning Connect」はこのkintoneのアプローチと同じものに見えました。 

 デモムービーやその他の情報を見る限りでは、SAP等の基幹システムとデータを同期し、スマホやPC等から参照することを可能にするものに見えますね。ただ、同期したデータはSalesforce内の他のオブジェクトと近い感覚で利用できるため、たのオブジェクトと同様、スマホやWebで実現可能なビジュアルな表現は当然可能になります。

なので、Salesforce1 Lightning全体の構想と同じく、単純にSalesforce経由で参照できます。というわけではなく、Lightningを経由することで基幹システムのデータを扱うことのユーザー体験を変えようとしているのだと思います。

Salesforceはまた、Lightning Connectとの統合にあたってコードを書く必要は一切なく、統合作業が高速に行える点も強調している。ここでは、オープンなデータ伝送プロトコルである「OData」を用いており、数カ月かかっていたデータ伝送時間は数分単位まで縮められるという。プロセスはリアルタイムで処理されるため、データは複製や保存ではなくストリームされる。そのため、古いデータがシステムに蓄積されることはないという。

セールスフォース、レガシーデータのリアルタイム統合ツールを発表 - ZDNet Japan

現状は参照中心のようですが、ここでのOData自体は更新にも対応した仕様ではあるため、将来的にはLightning Connect経由で読み書きができる可能性もあります*1。そうすると、実現するためにユーザーが負う開発コストはさておき、Salesforce(Salesforce1と言うべきなのだろうか)は基幹システムの完全なフロントエンドになり得ます。

ただ、おそらく重要なのは単純に基幹システムの情報をSalesforce経由で参照できるようにすることではなく、Lightningややはり先日発表されたSalesforce Analytics Cloudによって、利用者のユーザー体験を変化させ、基幹系に求めるユーザー体験のレベルを「底上げ」することにあるのではないかと想像しています。

セールスフォースは基幹系システム分野への進出を発表していますが、基幹系の刷新はそう短期ではできませんし、セールスフォース自体の準備がまず整いません。そこまで「つなぎ」としてLightning Connect経由でSalesforce1を軸にしたユーザー体験を浸透させていくことで、基幹系に求められるレベルを変化させようとしているのではないかと。

ちなみに、こうしたユーザー体験を変化させようとする動きについては国内含む他社も取り組みを開始しています。先日記事になっていましたが、ワークスアプリケーションズのHUEやInfor CloudSuiteも同じような香りがします。


News & Trend - ワークスとインフォアがSaaS型ERP発表、コンシューマー製品並みの操作性狙う:ITpro

Infor CloudSuiteについては何も情報を見ていないのですが、ワークスアプリケーションズのHUEについては、基幹システムのユーザー体験の質が変化する可能性をデモと説明を受けていて感じました。他のビックプレイヤー達(SAPやOracle、MSなど)が今後どう基幹システムを変化させてくるのか、気になるところです。

正直、どこまで基幹系システムそのものにセールスフォース自身が踏み込んでくるのかは想像できませんが、Salsforce Lightning Connectの発表は、セールスフォースが基幹系に踏み込むことを明確に示したものなんだと、改めて今は思っています。

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Salesforce1 Platform: How you integrate: Connect everything, fast. - Salesforce.com


Why Integration Should Be About Connecting, Not Copying Data - Salesforce Blog 


セールスフォース、レガシーデータのリアルタイム統合ツールを発表 - ZDNet Japan

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HUE | ERPパッケージ販売社数・シェアNo.1のCOMPANY


Infor CloudSuiteTM – クラウド上でセキュアに利用できる業界特化ソリューション

*1:既にできていたら申し訳ありません