最近、税理士に相談できる「Bizer」や、弁護士に相談できる「弁護士ドットコム」など、士業に簡単に相談できるサービスが増えてきましたが、この「Toreru」は商標を安価(出願手数料9800円~)に簡単に取れることを売りにしたサービスです。facebookのニュースフィードに流れてきたのを見て知りました。
「co-meeting」の商標を出願
co-meetingという社名で創業し、同名のサービスをリリースしてから3年以上たちますが、これまで商標の出願はしていませんでした。契約行為も基本そうですが、商標の出願も基本トラブルが発生したときのためのものなので、自社からの発信やメディアで取り上げていただいたりと、一定量の露出がされていたこともあり、取らなきゃなーとは思いつつ、これまで取らずにいたんですね。
昨年末くらいにちょっと気になる出来事があり、それを機に商標を取るためのプロセスと区分については自力で調査をしたんですが、忙しさにかまけて実際に出願するところまではいきませんでした。
そんな状況で放置していた中でたまたま見かけたのがこのToreru。サービス自体にも興味があったため、これを機に「co-meeting」を出願してみることにしたわけです。
手続きは非常に簡単
結果から書きますが、アカウントの発行および調査申し込みをしたのが11月30日、調査が終了し、出願可能になったのが12月4日です。その後こちらから出願依頼をしたのが12月9日。出願が終了したのが翌日の12月10日です。
期間としては10日ですが、こちらのもたつきがなければ5日には出願まで終了していたのではないかと思います。1週間で終わるってことですね。まあ、結果が出るのは6か月後なのですが。
手続き自体は全てWeb上で完結しています。調査依頼時に書く必要のある項目も8項目くらいで、その大半は連絡先の情報等の特に考える必要のない項目です。事業内容等はサービスや自社のWebサイトのURLを記載しておくことで、Toreru側で調査してくれます。記載する際のポイントも書かれているため、特に悩むことはありません。
調査依頼後、依頼時に記載した「ご相談日時」に担当弁理士の方から電話がありました。事業内容と出願区分の確認ですね。過去に調べたことがあったため、この時会話したのは5分程度ですが、おそらくこのタイミングで登録すべき区分や商標に関する質問等も細かくできるのではないかと思います。依頼から出願までの過程で音声で会話をしたのはこの5分だけです。
この電話をした夜に調査完了のメールが届き、出願申し込みが可能な状態になりました。調査報告書の確認や状況はToreruの画面上で確認できます。
後は出願申し込みをするだけですね。「出願申込み」ボタンを押すと、見積書が表示され、出願人の情報を入力するだけです。
その後、請求に関するメールが届き、メールに記載された口座に代金を振り込むことで出願手続きが開始されます。で、入金した翌日には出願が完了していました。
ちなみに、請求書も画面上で参照することができます。
こうしたサービスの価値は「非同期」コミュニケーションにある
こう、使ってみて分かったのですが、価格面での強烈なメリットももちろんあるのですが、それ以上に「出願プロセスの大半がWeb上かつ非対面ですむ」ことにメリットを感じます。
私たちのように人員の少ないベンチャーやベンチャー経営者だと特にそうだと思うのですが、日中の時間は極力実業に関わることに使いたいんですよね。
しかし、こうしたことを弁理士の方に相談しようとすると、多くの場合はアポを取って、対面で相談するところから始まるんじゃないかと思います。そうすると、主に日中に会って話をしなければならないことを含め、対応する時間帯を意識する必要が出てきます。
それがこのBizerの場合は途中の電話を除けばすべてシステム上で処理できるため、時間を意識せず、自分が許せる時間帯で出願までできます。実際私は調査依頼を23時過ぎ、電話対応はSalesforce World Tour Tokyoの自社ブースの前で行い、出願だけは日中ですが、他の仕事の区切りがついた隙間時間で行いました。
これはすごく助かります。いい時代です。
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ちなみに、このToreruはBizerや弁護士ドットコムのような士業のクラウドソーシング。というわけではなく、提供元の宮崎国際特許事務所の自社(いや自事務所かな)システムなんですね。Toreruのブログを読んでいてわかったのですが、なんと事務所のメンバーが自力で開発されたとのこと。
これらのシステムを自分達で作ることにしました。
システムを外注すると、下記のようなデメリットがあります。
- 外注先が商標実務を理解していないので使いにくいシステムができあがる
- 容易に改善できない
- セキュリティはブラックボックスになる
- 新規の技術を取り入れることができない(プログラムの世界は、毎年、腰抜かす技術が出てきます)
これはダメだろうということで、大学時代プログラム専門としていた弁理士(宮崎超史)が中心になって、
設計からプロトタイプ作成、実装まですべて自分達で行いました。
いや、これも時代ですね。士業も自分でクラウドサービスをつくることによって時間と場所を越えるようになってきたようです。面白い。
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