今年(2016年)の6月にウイングアーク1st株式会社から「spreadface」というアプリがリリースされました。spreadfaceはSalesforceの様々なデータをExcelから参照・編集できるExcelアドオンです。spreadfaceの概要については動画が公開されていましたので、これを参照すると大体のことが分かるかと思います。
高いセキュリティを誇り、規模を問わずにエンタープライズで利用できるWebシステムとして非常に完成度の高いSalesforceを利用する上でExcelにデータをダウンロードして、かつ編集まで行えるこのツールの利用はある意味Salesforceのポリシーからは外れているとも思えますが、データを扱うツールとしてExcelを利用できるのはやはり便利で、spreadfaceの利用を開始してから時間が経つほどに利用時間が増えている気がします。
spreadface概要 - シンプルな操作性
spreadfaceはExcelから直接Salesforceにアクセスし、SalesforceのデータをExcelにインポートするところから始まりますが、「Salesforceへのログイン」「オブジェクトの選択」「項目の選択」と、Salesforceを利用している人であれば特に悩むこともなく利用できるのではないかと思います。
① Salesforceにログイン
②オブジェクトの選択
③ オブジェクトを選択すると、取得する項目を選択する「項目エディタ」が開きます。項目を自由に選択できるのはもちろんですが、オブジェクトのメイン項目だけでなく、当該オブジェクトと関連する項目もツリーを展開しながら追加できるのはとても便利です。
「項目エディタ」は、項目を一つずつ選択することもできますが、それ以外に既に作成されているリストビューから作成したり、ページレイアウトから選択したりと、サクサクと使えるための工夫が施されています。便利です。
項目設定後、何も指定しなければ全件取得し、取得後にExcelの機能を用いてフィルタリングすることも可能ですが、各項目ごとにフィルタを事前に設定しておくことも可能です。Excel上で自由に分析するのであれば全件取得の方が便利ですし、特定の条件で抽出したデータを一括編集するために利用するのであれば、項目エディター上でフィルタリングしてしまうのが便利でしょうね。
④データの編集と書き込み
取得データをExcel上で編集すると、編集箇所が青色に変わります。削除フラグを立てた場合はグレーに変わります。
この状態で「書き込み」ボタンを押すとSalesforceに書き込まれるわけですが、この状態でExcelを保存しておくと、再度自分で開いたり、他の人が開いた場合もそれが維持されるため、Excelを共有してみんな編集した後、一括でSalesforceに対して更新をかけることも可能です。
spreadfaceのExcelアドインがインストールされているExcelでデータを取得したExcelを開くことで、誰でもSalesforce内のデータを参照することが可能です。ですが、データの再取得や書き込みはSalesforceのアカウントを持った人でなければできない他、Excelを再起動するとSalesforceへのログインを再度行う必要があるため、原則としてSalesforceユーザー以外が誤ってデータを更新してしまうこともありません。
Excelでの運用を変えずにSalesforceを使い始められる
Salesforce導入以前にExcelを利用して案件(商談)の管理や運用をされているケースは多いと思います。Excelで作成した商談管理用のファイルをファイルサーバーで共有し、営業会議前を始めとして定期的に営業人員がみんなで更新しながら管理する。
実は、Excelをみんなで修正すること自体は大して問題ではありません。Excelのデータの一括修正をするためのツールとして、Excelの使い勝手は良いため、会議や報告のための修正という面倒くささはありますが、操作性自体は悪くないはずです。
そしてそもそも、商談の状況をざっと把握するためのレイアウトとしてもExcelのようなレイアウトが向いていますし、その概要を一括修正していくのもExcelが向いています。
ただ、商談を進めていく上での活動履歴であったり、商談ごとの細かいメモやファイル添付だったり、取引先や商談情報に付随して管理したい情報があれこれあるわけです。それらもなんとか管理しようとした途端、Excelを軸にした管理は破綻していきます。過去の商談の経緯を過去のExcelを引っ張り出して探すことも。。。まあできなくはないですがやる気にはなりません。
だからこそ、Salesforceを導入して顧客情報を軸にあらゆる情報を集約していくことに大きな価値があるわけですが、普段自分や部下がからんでいる商談や取引先の情報を参照したり、コミュニケーションを取る上ではSalesforceを素直に使ってしまった方が便利ですが、定期更新や会議前の情報整理にはなんだかんだとExcelが向いています。
Salesforceを利用する事後にまとめて入力するよりも、何かイベントが発生するたびに都度その場で入力してしまった方が良いのですが、Excelを利用して一括編集を行いたい状況も多々あります。まあ、そこもSalesforceで頑張る道もありますし、その方がSalesforceの利用促進が早く進むこともありますが、spreadfaceのようなアプリがあるなら、使わない手はないな、という感想です。
spreadfaceを利用すれば、従来のExcelによる管理シートのレイアウトにもよりますが、ほぼ同じ構成で社内で共有し、共同入力も同じ運用で回すことができます。それに加えて、活動履歴や商談ごとの細かい情報はSalesforceに入れられるため、そうした情報を管理するためにExcelの構成をあれこれ悩むことがなくなります。
Salesforceを利用することで、Excelに向いていることだけに集中することができる。これは結構大きなメリットであるような気がします。
弊社のspreadface利用方法
弊社ではリリース当初からspreadfaceを利用させていただいていますが、弊社内で実際にどのように利用しているのか、何が便利なのか、そのあたりについていくつかご紹介したいと思います。
営業会議でモニターに映しながら状況確認・修正
アクティブな商談をExcelに一覧表示させて、ザーッと商談の状況の共有と次のステップを整理するのに利用しています。会議の中で出てきた議論のメモもExcelに追記してしまいます。
この作業はSalesforceの画面でやろうとすると、画面のいったりきたりが発生してしまうため、入力のために議論が中断してしまったりしますので、Excelで行えるのは非常に便利ですね。
イベント等で取得した顧客リストをサクッとインポート
リードのインポートはインポートマネージャーを利用するのが一般的ですが、ちょっとしたミスでインポートエラーが発生してしまうことも多く、エラーになったデータのみ再度抜き出してインポートし直したりと、細かく面倒です。
最近、実際にそうした状況が発生し、「あー面倒だなー」と思っていたところでspreadfaceの存在を思い出し、もらった顧客リスト(Excelでした)のデータをspreadfaceで作成したリード一一覧にコピペして一括書き込みを行ったところ、とてもスムーズにインポートができました。
大量のデータだと向かないかもしれませんが、Excelでもらえる程度のデータであれば、spreadfaceでインポートした方が遥かにラクでおススメです。
Salesforceの運用を変える際のデータの洗い替え
Salesforceを利用していると、管理する項目を追加したり、商談名の記載ルールを変更したりと、運用ルールを変更したくなるケースがときたま発生します。そうした際に商談名を一括で変更したり、追加した項目に一括でデータを投入するためにspreadfaceを利用しています。
こうした場合、一括更新するためのデータを作る作業をそもそもExcelを利用して行うことがほとんどですので、そのままExcel上でSalesforceのデータを修正できるのは便利ですね。SalesforceのWeb画面やデータローダーを利用して行うのは「やるぞ」という気合が要りますが、spreadfaceを利用してExcelでできると思うとやる気になります。やる気になる環境が用意されているのは、使いながら最適な運用を考えていくのが重要なSalesforceには強い武器になりますね。
spreadfaceに「向かない」業務
spreadfaceは非常に強力なツールですが、万能でもありません。あまり向かない業務にアプリを無理やり使うことはアプリを社内に浸透させる妨げになりますので、せっかくなので紹介しておきます。
個人ごとのデータ都度編集
訪問後の活動方向や商談情報の修正など、イベントごとの都度編集にはspreadfaceは向かないというか、Salesforceの画面で行った方が良いですね。もちろんspreadfaceで行うこともできますが、その状況ではどっちにしてもExcel上に取得している情報以外も見たくなることが大半なので、無理してspreadfaceを利用する必要はありません。Salesforceに慣れるためにもSalesforceを利用した方が良いでしょうね。
常時参照するダッシュボードの作成
spreadfaceを利用すると、Excelのピボットテーブルなどを利用してきれいなレポート(ダッシュボードのようなもの)を作りたくなりますが、あまり向かない印象です。
現状、spreadfaceでデータを取得した場合、spreadfaceを動作させるための非表示の行や列が追加されます。そのため、行を指定したピボットテーブルの作成ができないため、事前にピボットテーブルを駆使してきれいなレポートを作成しておいて、Salesforceからデータを取得したら自動更新。といった使い方ができないのですよね。
ですので、定期的に更新して常時関係者に見てもらうことを目的としたダッシュボードとして利用するにはSalesforceのダッシュボードやレポート機能、もしくはMotionBoardのようなBIツールを利用した方が良いでしょう。
ただ、Salesforceを利用していない人が参加する会議やメールで共有するための資料作成には便利ですね。
まとめ
Salesforceを結構深く使いこなしていても、Excelを利用することはありますよね。それは、なんだかんだとExcelを利用した方が便利で、生産性が高くなることがあるからです。
spreadfaceは、そのなんだかんだで外せないExcel利用を強力に支援してくれます。spreadfaceを利用することでExcelに向いている作業はExcelで、Salesforceをそのまま利用するのが向いている作業はSalesforceでと、ツールごとの特性をフルに活かして仕事をすることができます。
spreadfaceの価格は1ユーザー月額980円から、最低利用人数は10名からなので、月額9,800円からの利用となりますが、とりあえず管理者と社内のSalesforceヘビーユーザー向けにとりあえず契約してもいいんじゃないかと思えるアプリです。契約しておくと何かと役に立ちます。
おススメですね。便利です。
----