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ユーザーの利用状況の把握と1to1コミュニケーションを可能にするSaaS向け神サービス「Intercom」

(今回の記事は管理画面 Advent Calendar 2014のために書かれました。)

システム管理者向けの管理機能は、ユーザー管理やセキュリティ設定など、システムを利用・運用するための管理機能を扱うためのものですが。WebサービスやSaaSを提供していく上では、ユーザーの利用動向を把握し、ユーザーの拡大やユーザー体験の向上など、いわゆる「グロースハックのため」の管理機能が欲しくなります。

私たちが提供しているコミュニケーションサービス「co-meeting」でもリリース当初からそうした管理機能に少しずつ追加していたのですが、ユーザー体験に直接影響を与える実装ではないため、なかなか十分に対応できず、歯がゆい思いをしてきました。

そうした私たちの歯がゆさをまとめて解決してくれたのが「Intercom」です。

Intercomとは

Intercom自体は大分前から知っていたのですが、当初はZendeskOlarkのようなヘルプデスクに重きを置いたサービスだと思っていました。ぱっと見た画面構成がこれらのツールと似たような画面なので、管理できる情報も他のツール同様に問い合わせごとに整理されるのだと勝手に勘違いしていたんですね。

Intercomの画面。

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こちらがOlark。

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 Intercomもユーザーとのコミュニケーションツールであることに変わりないのですが、ユーザーの利用状況(データ)をリアルタイムに把握できる環境を提供することに重きが置かれていることが大きく異なっていました。また、ただ利用状況を見れるだけでなく、そのそのデータを元にしたユーザーとの1to1コミュニケーションを行うための「手段」をしっかりと提供してくれています。

この「利用状況の把握」と「ユーザーとの1to1コミュニケーション」はどちらも当時私たちがやりたかったことで、それがツールを導入し、コードを数行書き加えるだけで実現するわけですから、それはそれは魅力的でした。

ですので、Intercomは見た目はチャットベースのヘルプデスクのように見えますが、どちらかと言うとマーケティングオートメーションやCRMに近い属性のサービスだと思います。

Intercomでできること

ユーザーの利用状況をリアルタイムで把握できる

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コードを数行加え、いくつかの情報をIntercomから取得できるようにすることで、ユーザーの利用状況をリアルタイムに把握できるようになります。最終アクセスやサインアップ、利用セッション数などのアクセス状況を始め、OSやブラウザの種類とバージョンなど、カスタマーサポート時に役に立つ情報が参照できます。

また、カスタム項目としてユーザーのアクション等を追加することで、どの機能を使ったのか、どんな操作をしたのかといった細かい操作のトラッキングも可能です。

ただ、Intercomで参照できるのは最新の情報のみで、利用状況の推移を分析したい場合には他のサービスと併用する必要があります。

自動及び手動で送れるプッシュメッセージ(In-App/Emal)で1to1コミュニケーション

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Intercomのすべてのデータを利用した1to1コミュニケーションを可能にする機能です。各種データを元にユーザーを絞り込み、絞り込んだユーザーに対してメールやポップアップメッセージ(In-App Message)を送ることができます。もちろん、特定の個人に直接メッセージを送ることも可能です。

こうしたメッセージは、Intercomのデータをトリガーとして自動で配信することも可能です。例えば、「サインアップ時のウェルカムメッセージ」、「3日後のフォローアップメール」、「30日間利用していない人に向けたリテンションメール」などなど、ユーザー個人の利用状況や習熟度に合わせた情報提供やトレーニングを自動化すことができます。

サポート用チャット

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OlarkやZendeskにもあるようなサポート用の問い合わせフォームです。以前はチャットよりも一般的な問い合わせフォームに近いUIだったのですが、最近チャットようなUIになりました。

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当然、サービス提供側の画面では、複数のメッセージを複数のメンバーで対応できるような作りになっています。

インテグレーション(外部サービス連携)

外部サービス連携も充実しています。チャットツールのSlackにIntercomのアクティビティを流したり、Salesforceの取引先や取引先責任者のページにIntercomの情報を表示させたりすることができます。Salesforce連携はもう少し頑張ってほしいですが。

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また、以前このブログでも紹介した連携サービスのZapier(300種類以上のアプリとSalesforceをつなぐシステム連携アプリ「zapier」)にも対応しているため、かなりの数のサービスと何らかの連携をさせることが可能です。

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 価格

とても頻繁に価格改定をしています。私たちが使い始めてからも2回改定がありました。機能と導入企業が増え、その用途の幅が増えてきたためか、現在はIntercomに取り込むユーザー数と用途に依存して価格が変動する構成になっています。

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公開されている範囲では月額999ドルが最高価格ですが、それぞれのプランに「Pro」とついたオプションが用意されているため、最大で1000ドル強というところでしょう。

ユーザー数が増えるとそれなりの価格になりますが、HubSpotやMarketoのようなマーケティングオートメーションツールと比較すると10分の1くらいですね。現時点では妥当な価格設定だと感じています。

まとめ

現在私たちが提供および提供を予定しているサービスの大半にIntercomを導入しています。Intercom導入以前に「あんなデータをとれたらいいな」とか「こんなアプローチをユーザーにできたらいいな」とか夢想していたことは、大体できてしまいました。むしろIntercomを使い切れていないですね。

今回ご紹介したような管理機能を「実装しなきゃなー」と考えているのであれば、多少コストはかかりますがIntercomは検討する価値があるサービスだと思います。

おススメです。

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User Intelligence and Customer Communication | Intercom