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失敗しないWeb会議のための「うまくやる」5つのポイント

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 以前と比べて「Web 会議」「オンライン・ミーティング」「テレビ会議」といった言葉がだいぶ身近になったと感じています。(以下、便宜上本記事では「Web 会議」に統一します。)

私自身はリモート中心で働いているため、打ち合わせは必然的に Web 会議が多くなるわけですが、肌感ではなく実際はどうなんだろうと思って市場を調べてみました。

Web 会議に関する国内市場は約 500 億円ほどあるようです。これはどれくらいの規模感かと言うと、キーワードとしては「AI 市場」「インフルエンサー・マーケティング市場」「VTuber 市場」といったあたりの市場が同じく 500 億円規模。

「伸びていそうだな」と感じる市場と同じくらいの規模感なので、Web 会議市場もそれなりの大きさではあるようです。ただグラフを見てみると伸び率は意外に緩やか。2018 年 → 2019 年にいたっては、これだけ「働き方改革」が叫ばれているにも関わらず、101 %の成長率です。

このあたりは、「使う側の環境の変化」が影響しているのかも知れません。

以前は Web 会議というと「大企業の一室に、専用の部屋と設備が用意されている」というイメージでした。一方、いま時点で私の周囲を見回してみると、Zoom のような「ネット+ PC かスマホがあれば OK」なツールが主流です。けっこうな大企業さんでも Zoom(もちろん有料版)や Microsoft Teams のオンライン会議機能を使っているのを見かけます。

金額の積み上げよりは「Web 会議・ツールの導入企業数」のような指標で見た方が、実際に近いのかも知れません。

目次

Web 会議を「うまくやる」ために必要なもの

仕事上でのWeb会議の頻度は確実に増えていますが、実は「うまくいかない」ことも多くあります。よくあるトラブルは次のようなもの。

  • 会議の開始時刻から接続準備を始めて、実際のスタートが 10 分くらい遅れる
  • 音声トラブル(マイクがミュートになっているのに気が付かない、ハウリングがひどい、音声が極端に小さい、周囲の雑音が多い)
  • 通信が安定せず、結局スマホの LINE 通話で会話した
  • 画面共有で「見えてはいけない画面」が見えてしまっている
  • 参加者が現れないので連絡を取ってみると、別の URL(以前に使った URL など)で待機していた
  • 事前の連絡なく遅刻・欠席する

「会議スタート時のトラブル」は本当に多く、感覚的に 3 回に 1 回は何かが起こっている印象。特別な設備がいらなくなったので「ユーザー個人個人の、PC の環境設定」に影響されてしまうのが原因ではないかと思いますが、問題は、Web 会議の現場から情シスがいなくなってしまったことです。

特別な設備が必要だった頃は、会議の準備や、始めるときのサポートを情シスの方が担ってくれていました。トラブルが起こっても設定を調整したり、代わりの方法で接続し直したりしてくれていたのです。

ところが、今は Web 会議の開催がユーザー個人に委ねられてしまっているので、トラブルが起こったときには自分で何とかするしかありません。でも何ともできないので「とりあえず LINE 通話をスピーカーフォンでつなぎます…」みたいなことが起こり、会議の生産性が下がります。Web 会議の民主化が進んだ結果、ユーザー一人一人に求められる IT リテラシのレベルは、確実に上がっていると感じます。

(この辺りの、Web 会議に対するユーザーのペインを実にうまくカバーしているのがベルフェイスです。トラブルが起こりがちな音声まわりを「電話」に振りきり、事前にURLを発行せずその場で接続をハンズオンすることで、スムーズに会議をスタートすることができます。この仕組みとオペレーションは、体感すると本当に感動します。)

では、「Web 会議をうまくやる」ためには、どんなポイントを押さえておけば良いのかを考えてみます。

ポイント1.使うツール

無料で使えるツールは、Skype・ハングアウト Meet(旧 Google ハングアウト)・Zoom・Whereby(旧 Appear.in)などがありますが、個人的には最近 Zoom を使う機会が多くなりました。

Skype は数年前( 2015 年頃)はよく使っていたのですが、UI が使いづらかったのと、Microsoft が新たに「Teams」をリリースしてきたこともあり、最近ではほとんど見かけなくなりました。改めて Web サイトを見てみると、既にビジネス版の Skype は Teams に統合されているようです。

Zoom は、音声や動画の品質が安定していますし、録画・録音も自動でできたり、チャット、ホワイトボード、バーチャル背景など、とにかく多機能。ただその分、取っつきづらさもあります。

事前にソフトウェアをインストールしておく必要があり、URL をクリックすると一度ブラウザが立ち上がってから Zoom アプリが起動するなど、使ったことがないと「あれ?」と感じる部分があるので、手軽さという意味では、URL をクリックするだけですぐに始められるハングアウト Meet や Whereby の方が便利な気がします。

Zoom で行くなら、相手が使ったことがあるかを確認する、使ったことがないなら事前にやり方を伝えて準備をお願いするなどしておき、もし Zoom での接続がうまく行かなかったときの代替策として、ハングアウト Meet や Whereby を用意しておくのが無難かも知れません。

ポイント2.通信環境

どのツールもインターネット通信で音声や動画をやり取りするので、それなりの通信量を使うのではと思っていましたが、改めて調べてみると、意外に多くて驚きました。

YouTube や Netflix など、動画ストリーミングを見るのと同じくらいと考えると分かりやすいでしょうか。確かに、ライブで音声と動画をやり取りするのですから、通信量が多いのも納得です。

つまり、動画が快適に見られない環境では Web 会議もスムーズに行えないと考えられるので、外出先のカフェやコワーキングスペースから参加するときには注意が必要です。

動画ストリーミングでは、概ね 1 時間で 1GB ほど、データ容量を消費するようですので、スマホでつなぐ場合は、使えるデータ容量に注意が必要です。格安 SIM や、カフェなどの「フリー Wi-Fi」だと、時間帯にもよりますが、通信速度が安定せずちょっと厳しいかも知れません。

ポイント3.情報共有

当日その場になって慌てることがないよう、会議の URL や接続方法は Google カレンダー等に会議の予定とともに登録しておくと便利です。

ハングアウト Meet や Zoom の場合、Google カレンダーと直接連携してWeb 会議の URL が発行できます。

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こちらがホストの場合、会議を設定した時点=スケジュールを決めた時点で相手に通知メールを送ることが多いと思いますが、相手にとっては「情報を受け取ってから実際に会議をするまでタイムラグがある」ことになるので、当日になってメールボックスから探しだす、といったことが起こりがちです。

会議の前日や当日の朝に、リマインドとしてもう一度 URL・接続方法を送っておくと、相手にとっても便利だと思います。

ポイント4.スピーカーとマイクの設定

ノートパソコンにはマイクとスピーカーが内蔵されているので、何も付けなくても Web 会議に参加することができます。しかし、キーボードのタイプ音を拾ってしまったり、ひと部屋で複数人が参加する場合に参加者同士のマイクが競合して響いてしまうことがあります。ヘッドセットやイヤホンマイクを使った方が、お互い快適にコミュニケーションできます。

無線タイプの高機能なものは数万円しますが、USB で接続する有線タイプのものなら、2,000 円以下のものでも十分です。

注意点として、内蔵マイク・スピーカーから、イヤホンマイク/ヘッドセットに、設定がうまく切り替わらない時があります。Web 会議ツールにはマイクやスピーカーをテストする機能がついているので、会議前に一度チェックしておくと良いでしょう。

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ポイント5.マインドセット

「仕事上、そんなことがあるのか」と思う無断遅刻や欠席ですが、社内外問わず、実は意外と起こります。原因は、スケジューリングのミスにあるような気がしています。

私自身の自戒も込めてですが、場所の移動がなくすぐに始められるため、「直前の予定をギリギリまで入れてしまっている」というケースが多いのではないかなと思います。つまり「予定表上はキレイに収まっているが、準備時間が考慮されておらず、実際は予定が一部ダブルブッキングされてしまっている」という状態です。

Web 会議は便利だからこそ、準備に時間が必要だと言うことも気をつけたいものです。

おわりに

この記事を書いているとき、ちょうど新型肺炎(コロナウィルス)の影響で、テレワーク(リモートワーク)が話題となっていました。

以前から、すでに仕組みができ上がっている会社は良いのですが、今回を機に新たにテレワークに取り組んでいる企業は、いろいろと苦労があるのではないかなと思います。

私自身も以前は、お客様には直接会いに行く「オールドタイプの営業」をやっていました。それはそれで大切なコミュニケーションだと思うので、どっちが良い・悪いではないのですが、Web 会議で済ませられるシーンと、リアルに会った方が良いシーンを切り分けることで、仕事の生産性は確かに上がったなと思います。

初めて Web 会議をやってみる、あるいは、すでにやっているがうまくいっていないという方に、この記事が少しでもお役に立てれば幸いです。